アメリカンスナイパー
イラク戦争に派遣され、「伝説の狙撃手」と呼ばれた元米海軍特殊部隊員、クリス・カイル氏の人生を描いた映画。
160名を狙撃。アメリカの英雄として『レジェンド』として描かれている反面、徐々に心が蝕まれていく、そんな映画という印象。
なんというか、会社員の様に見えた。職場がイラクという戦場。そこで終わらせなければならない仕事があって、使命感を持って職務を全うする。
サラリーマンと軍人を比較とか、そういうものではなくて、根本的な部分が似ている気がした。「俺がやらないと・・・俺がやらないと・・・」そんな風に見えた。
家に帰っても仕事の事が頭から離れない。やり残したまま帰ってきたから。
数年前の私とそういった部分では、似ているように感じられた。
戦場にいるのに、携帯で電話してるとか、とても驚いたなあ(笑)
家に帰って、奥さまから心が帰ってきていない・・・というようなやり取りがあったけど・・・。私としては、勘弁してやってくれ。クリスはまだ仕事が終わってないんだ。追い詰めてあげるな!と。奥さまも大変だろうけど・・・。どこの夫婦もこういうもんか。
途中、クリスが弟と再会するシーンがある。弟は心身ともに疲れ切っていて特に精神的に病んでいる様子が伺えた。あまりの病みっぷりに、少し不気味さも感じた。怖く感じた。
そして、クリス宿敵を倒し、その代償か的に包囲され大ピンチに見舞われる。ミサイルを自らがいる地点に向けさせるも、砂嵐で外れてしまう。奥さんに電話し、帰りたいと訴えているときの表情は、なにかに怯えている子供のようにさえ見えた。さっきまでの、鋭い表情は無くなっていた。目標を達成した瞬間から恐怖が襲ってきたのだろうか。砂嵐のなかの脱出はとてもドキドキした。クリスがこのまま終わってしまうのかと・・・。あーよかった。
退役し、家で静かにすごし、徐々にPTSDも回復していく姿はよかった。昔に戻ってよかった。
退役軍人のPTSD問題に触れるとは思ってなかったので、少しだけ知ることができてよかった。クリスはそういった人たちを救う仕事を始めた。その患者の中の1人に、終わらせられてしまうわけだが、その患者の表情が最後映るのだが、何とも不気味で、こいつ大丈夫か?と思えるような、セリフ無しで表情で感じた。表情のみで、あの不気味な雰囲気を出すって、すごいなと思った。
皮肉な最後だった。残念だった。
クリスは、米国の英雄としてレジェンドとしてとても有名だったよう。
霊柩車が走る沿道には何百人もの人たちが見送りにきている様子が最後流れていた。
すごい兵士だったんだなと。思った。アメリカ人にとっては・・・ね。
逆にイラクの人々から見たら、どうなのか。160人を1人で倒した・・・と。160人殺したということ。英雄などではなく、死神では。戦争じゃなかったら、とんでもない犯罪者で死刑だよね。
なんだろ。いろいろ考えさせられる映画でした。
今日のお話はここまで。