Wanpaku Magma's Blog

愛車と写真。たまに仕事の事を綴ります。

訃報

何気ない日常の中のちょっとした違和感。

 

この日の朝、何気なくインスタを見た。

いろんな人のストーリーの中に、いつもの彼がいた。

月曜の朝から行ってきますと、ツーリング出発のお知らせだった。

お、今回はどこに行くんだろ?平日休みなのかなー?そんな気持ちで彼のストーリーをみていた。

そう、その日は12月の月曜日。私は仕事が忙しくバタバタしていた。昼休憩時、ルーティーンの如くインスタを開く。彼のストーリーが更新されていない。いつもツーリングの時は行ってきますからの途中経過、最後オドメーターとともにただいまってのが定番。そのあとは更にきれいな写真とともにポストされる。その日もそういう感じになるんだろうと期待していた。おそらくご近所さんなので、行先も似通ったりしていた。

珍しい。途中経過のストーリーが無い。珍しい。どうしたんだろ?普段と違う感じで、その時はほんの少し違和感を感じた。

その後、仕事の合間にインスタを見ても更新は無し。寒すぎて写真なんか撮ってられなかったのかな?とか、彼がそんな理由で写真撮らないとかある??とか。インスタ上でしか知らないが、日々の写真やDMでのやり取りをさせて頂いた中で判断させて頂くとするならば、おかしい。そう思った。昼間感じた少しの違和感が、なんかあったのかな?大丈夫かな。という少し心配になってきた。

 

仕事も終盤に差し掛かり、夕方。ひと段落したときにヤフーニュースをみたら、圏央道で事故という見出しでバイクが事故ったとの事。圏央道の相模原のあたりのトンネルとのこと。自身もよく使うので、あーあの辺かあ。という感じで記事を読み進めた。トラックやら4台が絡む事故。その中の大型バイクの運転手が亡くなったと。26歳。この時、26歳という年齢が強く印象に残った。ずいぶん若いな。事故の内容は悲惨で、後続に轢かれてしまったと、書いてあった。

この時は良くあるニュースの1つという感じだった。ただ、よく使う道での死亡事故という事で、シチュエーションが容易に想像できた。

 

その後、仕事をもうひと踏ん張りして、20時ごろ退勤。

その時はもう事故の記事は忘れていて、彼の動向が気になっていた。更新されてるだろうなと思っていた。

通勤車に乗り込み暖気がてらインスタを。彼の投稿があった。ん?なんでストーリーの画像使ってんだ?どうしたんだろ?やっぱやーめたって感じかな??なんて、いつもと違うパターンの投稿に少しワクワクしながら目を通した。

 

しかしながら、その文章は衝撃的なものだった。私のワクワクなんてものからは想像がつかない内容。信じられなかった。その投稿には、このアカウントの主は今朝、不慮の事故により26歳で人生の幕を閉じたと。亡くなったと、御父上がわざわざ投稿してくれたものだった。

 

昼間感じた違和感。行ってきますの後がなかったのはしなかったのではなく、出来なかったということがわかった。

 

しばらくショックで、とっても落ち込んだ。不慮の事故ってなんだと。とか。どこに行こうとしてたのかなとか、いったらどんなきれいな景色を見せてくれたのかなとか。これ本当はいたずらなんじゃないの?とか。なんで?本当に?どうして?

いろんな疑問や疑いが頭の中をぐるぐると黒い渦となって鈍くうごめいていた。

 

自分自身、とっても悲しく、残念で、動揺していたと同時に、顔も見たことが無く会ったこともない人に対しても、こういった感情が沸くものなのかと、黒い渦に巻きこまれながらも、やけに冷静な自分もいたりした。

 

彼とは全く面識もなくて、声すら聞いたこともない。顔だって知らない。インスタでフォローフォロワーの関係で、だまにDMでメッセを交わすぐらい。知り合いというほどのものでもない。なのになんでここまで悲しくて涙が出てきそうになるのか、自分でも理解できなかった。

私にとって彼はとても印象的なインスタグラマーで、美しい写真、かっこいい写真、ツーリングコースが自身とよく似ていて、言ってみれば彼のような写真を撮ってみたい、彼が訪れたきれいな場所に行ってみたい、そんな風に憧れを抱いていたのかもしれない。そしていつか、一緒にツーリングに行って、並べて写真を撮ってみたい。そんな風に思っていた。

 

それが、閉ざされてしまった。

 

26歳。まだまだこれからたくさんの経験が彼を待っていたはず。

嬉しいこと、楽しいことはもちろん、様々なすばらしい経験がこの先待っていただろう。本当にまだまだこれからだっていう年齢なのに。

親御さんを始め、きっと多くの友人もいたことだと思う。その悲しみは計り知れない。子に先立たれた親というものは本当に辛いと何かで読んだことがある。が、もうどうしようもない。取り返しがつかない。

記事に書いてあること以外は全く分からない。想像したらキリがない。ただ、ぶつかって、転倒、後続にはねられた。という事。心肺停止状態で救急搬送とのこと。

悲惨すぎる。悲惨すぎるが、バイクに乗っている人なら、多分想像がつく。それも結構簡単に。バイクってそういう乗り物だ。

 

この出来事の後、私はバイクに乗れていない。

なんとなく、気が向かないんだ。乗りたいな、と思っても、寒さもあるのかもしれないが、気乗りしない。

この先、彼に何をしてあげられるのだろう。と考えた。

してあげる、というより、どうすれば供養につながるのだろう。

同じことを繰り返さないことかなと、思った。

そうだ。千里浜渚ドライブウェイで夕日と写真が撮りたいといっていたな。今度は夕日とって、メッセで話した。

それを、やってみるか。いつの日か必ず。